日光連山より流れ出で、「華厳の滝」を落ちる大谷川の「千両水」。日光国立公園の恵まれた気候・風土で昔ながらの手法により作られた良質な米。自然から贈られた二つ恵みを正直に磨いた酒が片山酒造の「原酒柏盛」だ。
第78回関東信越国税局酒類鑑評会(常温の部)で「原酒 柏盛大吟醸」が優秀賞を受賞した経歴もある同酒蔵だがその実力を決してひけらかそうとはしない。あくまでも地道に正直に酒造りに精を出す酒蔵なのだ。
その姿勢がそのまま出ているのが片山酒造の製造法。「佐瀬式」と呼ばれる人の手で行う圧搾機を使い、3日もかけて醪(もろみ)を搾り出す。手間はかかるが、じっくりと清酒と粕を分離するため雑味が少なく、すっきりとしたお酒ができるのだという。さらに片山酒造では酒本来の味を味わえる〝原酒”にこだわる。原酒は水を足していない酒のこと。一般的な酒蔵では、飲みやすさやコストパフォーマンスを考え、水を加え調整をしている場合が多いのだ。
さらに片山酒造一押しのブランド「生原酒 素顔」は醪を搾る前に自然とあふれ出てくる、ビールで言うところの一番搾りだけを集めた酒。余計な手を加えず真っ向勝負の酒は酒通の間から強い支持を得ている。
また、堅気な片山酒造だが酒以外にもう一つのヒット商品を持っている。その商品というのが「酒ケーキ」だ。この商材もこだわりにこだわり抜いている。生地は地元の菓子店に頼み、酒は一級品を惜しげなく使用する。一口食べればただのお土産品の域を出ていることはすぐわかる。限られた店にしか卸していないのに月2000~3000個も売れているという。
片山酒造 原酒柏盛
写真は左から”原酒柏盛「三年熟成」”、”原酒柏盛「素顔」”、”原酒柏盛「ほほえみ」大吟醸”。
人気の「酒ケーキ」
ビジネスチャンス誌2009年12月号に掲載されました